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有名都市伝説と同タイトルを手掛ける丸尾末広先生の「トミノの地獄」

  • 執筆者の写真: 昭川和子
    昭川和子
  • 2024年7月28日
  • 読了時間: 6分

(※本記事は旧サイト昭和95年7月11日の記事のアイルビーバック投稿です。)


2020年07月11日


国民の皆さん。 こにゃにゃちは!


今年は新型コロナで世界的にイカレポンチなムードとなっており、あのスポオツのビッグエベントであります東京オリンピックも来年に延期される等、ヒジョーにキビシーですね。 自然災害についても今後も警戒してアンテナはる必要があるかと思います。(※私の身近な人も結構コロナにかかった人がいるけど、コロナそのものよりもそれによって悪化しうる持病があったりすると怖い感じかな。2024.07.28)


そんな中でいつにもまして「家で大人しくしている時間」が長くなった今日このころ。では、この状況のままにしんみりしていればいいのかと言われればそれもモッサァなところでありまして、私などは最近になって以前から気になっておりました「丸尾末広」先生のイカス漫画作品【トミノの地獄】を4冊全巻まとめて購入し、家の中でその美しくも怪しげな世界観に存分に浸らせていただいた次第であります。(※未だ元ネタの詩を口に出して朗読する勇気は出ないんだよね。2024.07.28)




いいですねぇ、このイカス「販売元から直接取り寄せました感」。 シビレますね。




ついに到着いたしました「KADOKAWA」のダンボオルを「えいやぁ!」と開けましたところ、中にはショック吸収材としてハードボイルドな茶色の厚紙がクシャクシャと敷き詰められており、それをかき分けた先についにはあの夢にまでは出なかった「トミノの地獄」の美しい冊子達が私の前に「ルックルックこんにちは」してくれました。(※ホント注文してから届くまでの間はメチャンコ待ち遠しすぎて夜以外眠れなかったからね。2024.07.28)


ナウいね~!




冊子のカバーデザインはすこぶるビューテホーであり、タイトル部分を高級感あふれるキンキラキンにするなど、置いておきますと部屋の彩としてもヤングな活躍をしてくれることでせう。個人的には購入時にデジタルか紙かを選択する際は間違いなく紙で買われる方がイカスのではないかと思います。カバー本当オッサレーだよね。



《全冊子の表紙デザイン》






帯のコピーからも確かに元ネタの「西條八十」氏の「トミノの地獄」からのナウスピレーション作品であることがうかがえます。




届いた本の状態は良好で、読むのに躊躇する程ピシャッとしてます。立ち読みされまくってる本屋の棚から買うよりも新品感がありますね。3、4巻はナイスな帯付きで送られてまいりました。送られた業者に届けてくれた業者の皆さま、ありがじゅう。(丸尾氏の絵柄は独特かつどこかナツさを感じる辺りも、本サイトとしてはナウポイント高めに見てます。古いんだろうけど「古臭さ」は感じないというか、不思議な魅力だよね。2024.07.28)




丸尾末広氏の作風としては【エログロ】(グロい中にエロがあるって感じぃ?)な表現が多く語られることがある模様ですが、本作ではその辺りはさほど強くはなかったやうに思います。(本作の「地獄」の背景にあるのは戦争か、それとも・・)


ただその作品の独特な雰囲気と「エッチ・スケッチ・ワンタッチ」とテンポよく移り変わるストオリイにはイッキに乗せられまして、少しずつ拝見しようと考えておりましたのに、気づけば4冊いっぺんに読みつくしてしまいました。




※作品中には上画像の「アラメン」(新顔)のように、ナウすぎるワードもちょいちょい登場いたしまして、私たちを更にノスタルジックな世界にいざなってくれます。まさに「ラーメン・つけメン・僕アラメン」ですよね。(言葉としては昔のものだけど、センスとしては「イケメン」とかいうワードとなんら変わらないね。2024.07.28)


物語は生みの母親に棄てられた双子の姉弟(赤ん坊)が、親戚の家に預けられるところから「ホップ・ステップ・ジャンプ」していくのわけでありますが、名前のなかった二人はそこで「ミソ」「ショウユ」等とふざけた名前をつけられたり、ぎゃく待を受けたり、イジメられたりと散々な扱いをされた挙句に【異形】達が集まる「見世物小屋の一座」に売り飛ばされてしまったのでありました。 アジャパー。(もう一人いたら「シオ」とか「コショウ」とか名乗ることになっていたのだろうか。2024.07.28)


一座で「トミノ」(姉)「カタン」(弟)という名前をもらった二人は、その後見世物小屋のアトラクヒョン構成の一員として居場所を確率しつつありましたが、その後見世物小屋が火事で焼け落ちたりとアッパラパーな展開へと突入。


※全4巻というのは人気少年雑誌のコミックスで言えばかなりコンパクトなボリュウムかと思いますが、様々なキャラクターが登場しつつも無駄がなく、全てが機能して確りと一つにまとめられているような、先生の非常に高い構成力を感じる所であります。




※チヤップリソが主演なら私もトミノはん同様これが観たいです。 (千里眼とか「御船千鶴子」氏を思い出ぽろぽろしちゃうね。2024.07.28)


独特に思ったのは「トミノ」や「カタン」のセリフは比較的作品通して少ない印象で、代わりに周囲のサブキャラ達が口数も出番も多くストオリイの流れを表現/説明する役割をしているところでせうか。


しかしそれでありながら二人は常に話の中心にちゃんといて、主人公としての存在感は確りしているところで、この様なコンパクトながらも深みのある作品になっているのではあ~りませんか?




都市伝説で有名な「西條八十」の詩【トミノの地獄】では、その意味の解釈として「出征したトミノ少年の詩」だとか「兄妹の許されざる恋路の詩」だとか、「ぎゃく待されて地獄へと落ちた少女の詩」だとか色々な説がある様ですが、本作は西城八十の詩とは直接的なつながりはないものの、恐らくは確りとそのミステリアスな詩から膨らませた先生の中のイメエジが作中に生きているものかと思います。(ぎゃく待された上に地獄へ落ちるって、よく考えたら少女かわいそうですな。2024.07.28)


※都市伝説「トミノの地獄」:西條八十が「砂金」という詩集の中に収録した「姉は血を吐く、妹(イモト)は火吐く、可愛いトミノは宝玉(タマ)を吐く。」から始まる一見不気味な詩。口に出して朗読するとイカレポンチな不幸が起こると語られています。




先生の丸尾末広先生の独自性と芸術性を兼ね備えた美麗な世界




収録されているインタビューページによると、先生も若い頃は「少年ジャンプ」に持ち込みをしたりしていて、そこでは「メジャー受け」を意識してしまって描きたいものを抑えてしまって全然ダメだったらしいです。たしかに当時の人気少年誌とかは流行の最先端なところがありますから、今受ける作品を意識してしまう部分もあったのでせう。


しかし、結果的に「こんな表現も行けるんだなぁ」という「やったもん勝ち」な独自表現の中でキャリアを重ねられた方のやうなので、そこでの挫折も後の氏のすんばらしい作品世界につながっているということなのでせう。



上リンクはアフィリエイトリンクではありません。



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